【イベントレポート】Cambridge Day 東京 2023
2023.03.27
Cambridge Day 東京 2023
3年ぶりに対面で開催されたCambridge Day 東京 2023、当日雨だったにもかかわらず本当にたくさんの熱い思いを持った先生方がお越し下さいました。
基調講演
授業・評価・環境面に関する諸課題への対応 - “英語教員あるある”をどう解決できるか
向後 秀明 先生(敬愛大学英語教育開発センター長・国際学部国際学科教授、元文部科学省初等中等教育局教育課程課・国際教育課外国語教育推進室 教科調査官)
今回の基調講演では、3つの分野(授業・評価・環境)に焦点を絞り、向後先生が全国各地で講演を行う中で受けた質問や実際に遭遇した状況から、18の“英語教員あるある”を取り上げ、それぞれに対して具体例の紹介と改善策の提案をいただきました。
- 学習した教科書から出題しなくてもOK?
- ライティングの評価はALTにお任せでOK?
- 文法を明示的に教えることは避けるべき?
- ICTはどう活用すべき?
- 言語活動中心だと入試に不利なんじゃないの?
など、会場では多くの先生が日々思い悩んでいる項目が、少しずつクリアになっていく様子が印象的でした。
参加者からは、「4月から新しい環境で不安でしたが、頑張ろう、色々挑戦しようという勇気をもらえました」といった声も聞かれ、向後先生の常に学習者に寄り添い、より良い授業を模索する姿に奮い立たされる講演でした。
グループワークショップ
Group A:CELTAから学ぶ授業づくりのヒント
中川 千穂 先生 (工学院大学附属中学校・高等学校 英語科主任 – Cambridge English school、CELTA (Pass with all A)、 2019年 Cambridge English schools competition 最優秀賞受賞)
様々な英語教育イベントで登壇者としてもご活躍され、Cambridge Dayでもお馴染みの中川先生に、CELTAの手法を使った生徒中心の授業づくりの指導アイディアを共有いただきました。
プリント配布からペア/グループの作り方や指示の出し方、生徒の理解を確認するICQ (Instruction Checking Question)、CCQ (Concept Checking Question)を中心にお話しいただき、それぞれにおいての重要な点をご紹介いただきました。
- 指示の出し方:命令形、明確に短く簡潔に、アクティビティには時間を指定する
- ICQ:指示や説明を行った後に、Do you understand?、Are you OK?など生徒が本当に理解しているかわからない意味のない質問は避け、簡潔な質問で与えた指示が本当に理解できているかを繰り返し確認する
- CCQ:Yes/No Questionや簡単な質問で生徒が「内容」を理解できているかを確認する。英語では理解度の確認が難しいと思われる語彙や文法は、 例えば仮定法の場合、過去・現在・未来・仮定で質問をすると理解できているかを確認することができる
ご参加いただいた先生方はグループになって教材のアクティビティを例に様々なアイディアを出し合い活発な意見交換をされ、質疑応答でもたくさんの質問が飛び交う活気あふれるワークショップでした。
Group B:中高一貫校の中学での「オールイングリッシュ授業」の取り組み
鈴木 優子 先生・松本 悠暉 先生 (高槻中学校・高槻高等学校 英語科教諭 – Cambridge Better Learning Partner)
伝統的な進学校として英語の授業を行っていましたが、Cambridge Better Learning Partnerとしてオールイングリッシュで生徒中心の4技能を伸ばす授業を取り入れ始めました。最初は文法を英語で教えることや、生徒が英語で自分の考えや意見を言えるのかなど先生自身がとても不安に思っていたこと、そんな中でのご経験をとてもリアルにお話しくださいました。
生徒を信じて考える時間を与えて待つこと、トライ&エラーを繰り返したこと、それを乗り越えて行ったご経験、そこから学び取ったこと、そして最終的には今まで進学校として出していた結果を更に上回る形で結果を出せたことをとてもざっくばらんにお話しくださり、お二人のお人柄と教師として生徒を信じる姿勢に、励まされた参加者も多くいらっしゃいました。
後半では2つのデモレッスンをしてくださり、初年度に行っていた授業とこの3年間で進化した授業の比較を実際に見せてくださり、話題をどのように膨らませ、生徒からどのように答えを引き出し、そしてクラス全体を巻き込んで夢中にさせる手法をご紹介くださいました。
大変な時期ももちろんあるけれど、信じてその道を進み続ければ道は開けるということを体現してくれたお二人のお話に、アイディアと勇気をもらったという参加者が多くいらっしゃいました。
Group C:Listen Up!: Helping learners develop their listening skills
Allen Davenport (Professional Learning and Development Manager at Cambridge University Press)
Allen provided a very interactive workshop focussing on how we can help students to develop their listening skills and how as teachers we can improve our listening teaching skills also.
The event covered strategies for teaching listening, including generating interest in the topic, presenting key vocabulary, and setting tasks that require listening for specific details or understanding the gist. Participants worked together in pairs to discuss their thoughts on statements related to teaching listening and to put in order a listening practice activity that could be used in their own classes.
The Listen Up! workshop concluded with a lively question and answer session with many thoughtful questions asked from the energetic group of participants!
Group D:ケンブリッジのテキストと歩んだ6年間 ~中1から高3までの生徒の変容に焦点を当てて~
大橋 優生 先生 (佐野日本大学中等教育学校 英語科教諭)
以前は参加者としてCambridge Dayに参加して下さった大橋先生が、数年後の今年はプレゼンターとしてご登壇くださいました。
6年間の取り組みの中で、生徒の成績が模試も含めてどのように伸びたのか、またどういう活動や教材の中身に興味をもってくれたのかを具体例をふまえて話していました。
ケンブリッジの教材を導入した初年度に直面した困難、その経過とともに、勇気をだしてやめたことなどもざっくばらんにお話くださり、勇気をもらった先生方もいらっしゃったのではないでしょうか。
「生徒と楽しそうに一緒に学ぶことが大切」と仰っていたのが印象的で、生徒がどう変容していったのか興味深く聞いている先生が多くいらっしゃいました。
質疑応答では、使っているオンラインツールやテストをどのように行っているかなど、参加者の皆様からの質問をとても多くいただき、先生方がとても興味をもってくださっているのが伝わるワークショップでした。
最後に
3年ぶりの対面開催でしたが、対面での実施を喜んでくださる先生方が多く、オンラインとはまた違った対面イベントの良さも感じていただけるイベントになりました。
ご参加いただいた先生方からも、とても嬉しいコメントをたくさんいただいております!
「遠いし雨だしで来るのを迷っていましたが、本当に来てよかったと心から思いました。4月から新しい環境で不安でしたが、がんばろう、色々挑戦しようという勇気をもらえました。Thank you so much!」
「今まで参加した英語科教育の研修の中で一番ためになる研修でした。また参加したいです。」
「ほぼ毎回参加させていただいておりますが、ルーティーンになりがちな英語教師としての日々にとても良い刺激を与えられる貴重な機会となっています。ありがとうございます。」
「楽しかったです!」
「どのセッションもとても素晴らしく勉強になりました。ありがとうございました!!」
ご参加くださった皆様、雨の中お越しくださり本当にありがとうございました!