英語資格マニアの東進ハイスクール・河合塾講師の森田鉄也先生がケンブリッジ英語教授法資格CELTAを取得!
2019.10.25
ケンブリッジ:本日は宜しくお願い致します。まずは幼少期から大学卒業までどのように英語を学んできたのか教えてください。
生まれは横浜で千葉県の普通の公立高校に通っていました。元々英語が得意だったわけではなく、13歳から英語を学び始めて高校の授業には全然ついていけなかったのを覚えています。そこで予備校に通うことにし、初めて英文法が分かるという経験をしました。当時の予備校の先生の授業に感銘を受けて文法にハマりましたね(笑)。そんなことがきっかけで英米文学専攻を目指して猛勉強して、慶應義塾大学に合格しました。大学在学中はアメリカに留学して英語教授法TEFL*を取得しました。帰国して英語検定1級に合格してどんどん英語にハマっていきました。大学を卒業してから東京大学大学院の修士課程に進み、中高一貫校や予備校で英語を教えながら認知言語学や意味論を研究していました。そんな感じで英語の世界にのめり込んでいきました。
*TEFL: Teaching English as a Foreign Language
ケンブリッジ:そこから正式に予備校講師になられたのですか?また予備校ではどのような教え方をしていましたか?
大学院修了後は博士課程も考えましたが、周りの天才たちでさえも博士号をとれないのだから自分には無理だなと思い、留学することにしました。結局サンフランシスコ、バンクーバー、ソウルでそれぞれ1年生活し、帰国してから東進ハイスクールと河合塾の講師になりました。予備校での教え方は非常に伝統的な教え方でしたよ。留学経験もありましたし、教授法資格も持っていたので英語の使い方を意識して教えていましたが、メインは文法訳読式ですね。自分でもかなりマニアックだなと思いましたが、論理的思考力を鍛えるのには有効だし、受験の英語は使うためのものではないと割り切っていました。でも最近では4技能の授業が始まり、スピーキングを教える力も求められるようになり、学んだ教授法を思い返し試行錯誤しながら教えるようになりました。
ケンブリッジ:では早速本題のCELTA取得についお聞きしたいと思います。CELTAを受講しようと思ったきっかけは何だったのですか?またCELTAを受講するための適性テストはどんな感じだったのでしょうか?
資格マニアなので勿論CELTAの存在は知っていました。CELTAはとりあえずキツいイメージで、非常に過酷なコースという印象でした。とりあえず申し込みをしようと決意したのですが、コースの申し込みの段階でWritten testがあり、さらに後日Interview testも受けることになりました。
Written testの難易度が高いです。日常的に予備校で教える複雑な文法や構文ではなく、似た表現の違いをいかにわかりやすく説明できるか、簡単な単語をより平易な表現を使って初級者にもわかるように説明するのが難しいです。InterviewはWritten testの内容をもとにチューターと解き直すプロセスです。「なぜこれを選んだのか」「なぜこうなったのか」を説明しなければなりません。またその場で新たに問題が出題されて回答するように指示されます。Googleを使ってもいいから調べて説明しろと言われましたね(笑)。
ケンブリッジ:森田先生でも難しいと感じるほどの難易度なんですね。日本人にとってはやはり難しすぎると感じますか?
そもそもCELTA自体がネイティブスピーカーを想定して課題を作っていると思うので当然難しいです。ノンネイティブがネイティブスピーカーに唯一勝るのが英語に関する知識ですね。CELTAを受講するのに求められる英語力はCEFR C1レベルとありますが、多くの日本人はそこに辿り着くのが相当たいへんだと思います。ただし英文法に関する知識では、英語を外国語として学んできたノンネイティブがネイティブスピーカーに勝っています。
ケンブリッジ:そうなんですね。ではどのような方々が参加されていたのでしょうか?また受講してみての率直な感想をお願いします。
私のコースでは8人の参加者と2人のチューターがいました。つまり4人に対して1人のチューターがついてくれました。参加者の出身国はアメリカ、イギリス、オーストラリア、シンガポール、そして日本人は私を含めて2人いました。とりあえず最初の1週間は地獄でした。参加者が口を揃えて同じ感想を持っていました。1日のインプットセッションでは覚えることが多く、1日が非常に長く感じられました。休み時間も全部英語だったので英語圏に留学している感じでしたね。当たり前ですがネイティブ向けの授業なので最初の頃は特に大変でしたが、文法だけは私が一番知っていました(笑)。一番の収穫は、日本で当たり前となっている教え方を覆すような教え方を習うことができたことです。クラスルームイングリッシュを含む英語力は勿論のこと、これまで求められてきたスキルとはまた別のスキルが求められました。これまで授業では生徒に多くの知識を与えることが大切だと思っていましたが、CELTAでは生徒から既存知識を引き出すElicitation能力が求められます。教師がたくさん話すのではなく、生徒がたくさん話すことが求められ、教師は生徒の発言を促すことに徹します。予備校講師が知識を披露したほうが生徒の満足度は上がるかもしれませんが、本当に生徒の学びになっているかというと、必ずしもそうとは限らないのだと思いました。
ケンブリッジ:まさに生徒主体の授業が求められるわけですね。では実際のCELTA の授業ではどのようなことを学びましたか?
アウトプットセッションではレッスンプランを作り授業準備をして、実際にチューターと生徒の前で授業をします。そのレッスンプランが週を追うごとに過酷さを増し、授業準備もパフォーマンスもより高度なものを求められます。まずはLanguage LessonとSkills Lessonの違いを学び、CCQ*やICQ*、授業中の視線の送り方や立ち位置など基本動作を学びます。レッスンプランにAnticipated problemsやPossible solutionsが追加され、授業教材をアレンジするスキルも求められてきます。終盤にかけてだんだん辛さは減ってきて、自立して一人でもレッスンプランが書けるようになってきました。とにかくCELTAでは英語を教える上での様々なテクニックを学びましたね。Finger Correction(指を使ったフィードバック法)やBackchaining(難しい音や単語の発音練習の技法)のやり方、アクティビティをする上でもControlled Practice(選択肢や順序替えなど、自由度の低い活動)からFreer Practice(発表ややりとりなど、より自由度の高い活動)に持っていく方法などもためになりました。
*CCQ: Concept Checking Question *ICQ: Instruction Checking Question
ケンブリッジ:CELTAの専門用語がたくさん出てきましたね。ちなみにCELTAではケンブリッジの教材も多く使われていると思いますが、先生は授業でケンブリッジ大学出版の教材を使っていますか?
非常勤で教えている大学ではUnlockを使って授業をしています。UnlockはまさにCELTAの教授法が実践できます。全体のユニットを通して要点を問うGist Questionsから細部に渡って細かい情報を確認するDetailed Questionsまでスムーズな学びが実現できます。またリスニングの音声に関してもネイティブスピーカーの英語だけでなく、中東や南米で実際に使われているノンネイティブが話す英語の音声が使われている点は、実社会に即していると感じます。また音声を聞く段階に行くまでの足場作りがきちんとなされているので、学習者は聞く準備ができてから音声を聞くような仕組みになっています。さらに聞いたものをスピーキング活動に移行する内容になっているのでインプットからアウトプットまで一貫して指導できます。
ケンブリッジ:これからの日本の英語教育についてどうお考えですか。またこれからの目標を教えてください。
まだ日本ではCELTAのような教授法をすべて応用できる時代ではないと感じていますが、少しずつ組み込みながら改善していくのが理想だと思います。その点では2020年は大きな節目になると思います。加えて英語教師の更なる英語力の向上が必要であると考えます。ケンブリッジ英語検定のC1 Advancedを持っているのが理想ではないでしょうか。また是非、日本の中高の英語の先生にもCELTAに挑戦してもらいたいです。自分としてはそのためにも先生向けの教え方講座をどんどんやっていきたいと思います。呼ばれたら日本中どこにでも行くつもりです。今後は自分の発信力も高め、今や趣味の領域にある英語資格も受験し続け、常に知識をアップデートしていきたいと思います。
ケンブリッジ:森田先生、本日はお時間を頂きありがとうございました。
森田先生が使用している教材 Unlock詳細はこちらからご覧いただけます。